【お金の本質】大恐慌でも目減りしない資産防衛術(金と銀)

英語要約

 世界から学ぶ金・銀投資をする本質

■貨幣の隠された秘密(エピソード1~5の結論)

  • 世の中はすべて創られていることを理解する。
  • まやかしの紙幣から逃れること
  • 何に価値があるのかを気づくこと。
  • 究極の資産貿易術=あなたの思考を根底から変えること
  • この前提の上、金や銀などの実物を所有すること

■貨幣の隠された秘密を見た結果、私が心がけようと決めたこと

  • お金の意味/本質を再度、考える。
  • 預金/貯金=素晴らしいとの考え方を見直す。
  • その物「自体」に価値があることが重要
  • その物自体に価値がある=金、銀、プラチナ、アンティークコインなどの現物
  • ただし、上記にこだわる理由は無い=価値が変わりにくい物であればOK
  • ロレックス、不動産、農作物を育てる畑等、お金への正しい知識も価値がある。

「貨幣の隠された秘密」シリーズ エピソード1「貨幣vs通貨」

エピソード1の要約

投資教育会社制作の動画「貨幣の隠された秘密」シリーズの内容を紹介する。この動画に出演しているのは、貴金属投資の専門家の設立者、マイク・マロニー氏だ。氏は「金持ち父さん」シリーズの著者ロバート・キヨサキのアドバイザーも務める。著書「The Guide to investing in Gold and Silver(「金銀 投資ガイド」)」はベストセラーとなっている。

本シリーズでは、現代の通貨制度に関する、あるメッセージを私たちに問いかける。

そのメッセージとは

真の富とは自由と時間である。お金は時間を取引する手段にすぎない。それをふまれば、現在の通貨制度は“まやかし”だ。言い換えれば、数字だけが動く虚構の世界だ。これは人類の歴史で何度も繰り返されている誤ちでもある。そして歴史がしめすように、近いうちに、また崩壊する。

崩壊後、金・銀が貨幣としての地位を取り戻せば、それらの価値は今よりずっと高くなる。しかし、現在の制度は、一部の支配者が富を独占するために、一般市民がまやかしだと気づかないようにあえて複雑に作られている。今後の金融危機で自分を助けるには、貨幣の歴史、金融の仕組みをよく知っておく必要がある。

それではシリーズ第一弾であるエピソード1「通貨vs貨幣」を見てみよう。ここでは通貨と貨幣は違うということを説明している。マロニー氏は、プロでもこの違いを理解していないと言う。

通貨=Currencyとは
  1. 取引するための媒体
  2. 計算単位
  3. 持ち運びできる
  4. 耐久性がある
  5. 分割できる
  6. 代替できる(同じ価値を持つ別の個体がある。つまり1ドル札は別の1ドル札に代替可能)

しかし、通貨(Currency)には弱みがある。それは…

「政府が通貨を発行するほど、その価値が薄まる」

後のエピソードで説明するが、そうなれば富があなたのポケットから流れ出し、政府や銀行に吸い取られるのが現在の通貨の仕組みである。

貨幣=Moneyとは

貨幣には通貨の1~6に加えてもう一つの特徴がある。

 7. 長期に渡ってその価値を保存できること

貨幣の条件7があてはまるのは、金・銀の貨幣だ。金・銀の特徴を、上記の条件に当てはめると…..

  1. 小さくても価値が大きい。
  2. 世界中どこに行っても価値が同じ
  3. 持ち運びができる。
  4. 5000年前のエジプト貨幣が今も残されている。
  5. 分割できる
  6. 世界中どこに行っても純金(純銀)の質は同じ
  7. 量が限られていて政府が過剰に造幣できないため、価値が変わらない。

現在、使われるのは価値が残らない不換通貨(ふかんつうか)

通貨とは、いつでも金(ゴールド)と交換できる紙幣などの通貨から始まった。これが金本位制。そして、金と交換できる通貨を兌換通貨(だかんつうか)という。

例えば、金本位制度下にあった第一次世界大戦前に作られた紙幣は兌換通貨としての、ただの預かり証にすぎない。いわばクリーニング店に服を預けて発行される預かり証と同じだ。

そして徐々に、金(ゴールド)とは交換できない不換通貨が作られるようになる。後のエピソードでも説明するが、不換通貨は歴史上、何度も作られ、その度に崩壊してきた。

現在、私たちが使っているのは、この不換通貨だ。不換通貨はその価値が保存されない。歴史的に作られた紙幣などの不換通貨は、いずれも現在貨幣の価値は持っていないことが証明されている。

わかりやすい例を挙げてみよう。

以下の3つのアイテムを並べた後に質問する。

「他の2つと違うものはどれ?」

回答者は2つのグループ。アメリカの名門大学の教授グループ、そして5歳児の子どもグループだ。

  • モノポリーゲームのおもちゃ紙幣
  • 50米ドル紙幣
  • アメリカ・イーグル金貨

教授グループはこう答える。

「明らかに50米ドル紙幣が他と違う。おもちゃ紙幣と金貨はお金としての機能がない。」

しかし、子どもグループの答えはこうだ。

「どう見ても金貨が違う。他の2つはただの紙にすぎない」

さて、賢いのは教授と子どものどちらだろうか?

貨幣としての金・銀

金や銀は、5000年前のエジプト時代から保存され、形を変えても今もその価値は変わらない究極の貨幣だ。それらは形は変われど、コイン、金ののべ棒、装飾品として価値の高さを維持している。

また金・銀貨幣は量が限られるため、政府は過剰に作れない。つまり政府を抑制できる機能を持つ。そのため、アメリカ政府は金銀を嫌い、金と交換できない不換通貨を発行し続ける。

通貨供給の拡大がインフレーションを招き、破綻を招く

インフレーションとは

通貨の供給が増えるため、通貨の価値が下がり、物の値段が上がる。言い換えれば、政府が過剰に作る大量の通貨を消費するために、物の値段が上がるのだ。インフレによる物価高騰は、通貨という水を吸い上げて大きく膨らむスポンジと同じ。

現在、世界中のほとんどの国々が財政赤字を抱え、通貨供給を拡大している。世界中の政府が行なっている量的金融緩和政策(QE)がいい例だ。これは通貨のさらなる供給を意味する政策だ。

アメリカ通貨の歴史が始まってから2000年代までの約200年間で、約80兆ドルの紙幣が造幣された。しかし2009年以降、量的金融緩和政策(QE)の注入が行われてきた。それから数年間(*注)でそれまでの200年に作られた紙幣をはるかに上回る数の紙幣が作られたのだ。

*注:この動画が公開されたのは2013年。

これはアメリカだけの話ではない。ロシアでも2001年から10年強で、流通通貨が18倍に増えている。2000年代に入り、どの国でも同じく通貨の過剰供給が始まっている。

通貨の過剰供給による破綻は徐々に始まっている。2度目のQEの際に、世界の食料価格が6割上昇した。それは人道的危機につながった。

地球上には1日の生活費が2ドルしかない貧しい人々が20億人いると言われている。彼らにとって、通貨の価値が下がり、物価が上がれば、状況はさらに悪化する。それはクーデターをも引き起こす。

2011年初頭から中東や北アフリカで起きたクーデター「アラブの春」は、食料インフレが原因のひとつとも言われている。歴史を遡れば、フランス革命も食料価格の高騰がきっかけのひとつだ。

インフレが進めば、生産性のあるグループが打撃を受ける。生産性のあるグループとは、消費を上回る生産量があり、それを貯蓄する層だ。しかし、彼らの貯蓄はいずれも不換通貨だ。それが崩壊したとき、例えば老後の資金が消えてなくなることもありうるのだ。

「QEにしても景気刺激策にしても、通貨の製造を拡大するためのまやかしだ、とマロニー氏は断言する。氏は続ける。「金と銀が究極の貨幣だ。そして歴史上、過剰供給された通貨を支えようとする。そうなった暁には、その購買力つまり価格はさらに上がる。それは歴史が証明している。そして今が歴史的な好機なのだ」と。

動画のキーワード
  • お金の本質
  • 虚像の世界
  • インフレ
  • 通貨供給量(量的緩和)
  • 不換通貨
  • 真の富
  • 究極の貨幣
  • 購買力

エピソード2「帝国の7つのステージ」/悪貨は良貨を駆逐する

エピソード2の要約

貨幣の歴史:世界初の財政破綻はアテネ

貨幣の歴史は繰り返しの連続だ。当初、貨幣には様々な形があった。金(ゴールド)が貨幣として使われるようになったのは紀元前680年~630年ごろのリディア。同じサイズ・重量のコインを製造し、同じ価値の貨幣として使用した。この貨幣は、ギリシャのアテネで爆発的に使われるようになった。なぜならそこは、自由市場を持った最初の都市社会だったからだ。

しかし、その後、アテネは崩壊した。始まりはスパルタとの戦争だ。戦争により、アテネはスパルタが持つ金銀鉱山へのアクセスを失う。また軍隊への仕送りのために、貨幣が都市から流出し、アテネ市内ではデフレ(貨幣価値の上昇と物価の下落)が発生、不景気となる。そこで政府は、銅を混ぜた金貨を大量生産し始める。

税として徴収した金に銅を混ぜて、戦争や公共工事などで徴収額を上回る経費を使う。これは赤字支出の始まりだ。そのうちに金と銀は姿を消し、市場に出回る貨幣は大量の銅貨となる。世界初のハイパーインフレだ。これがアテネを衰弱させた原因となる。その後、この歴史は時を経て何度も繰り返されている。

アテネが犯した間違いとは

  • 彼らは自分たちが最も優れているという傲慢さに溺れた
  • 赤字になっても、戦争や公共事業が必要だと思い込んだ

まるで私たちの現代社会そのものに聞こえないだろうか?

帝国の7つのステージ

このステージ(段階)は、2つの状態を行ったりきたりするパターンを段階で示したものだ。2つの状態とは「質の高い貨幣経済」と「質より量の通貨経済」で、経済はこの間を振り子のように行き来している。

そのステージ(段階)とは

ステージ内容
1.健全な貨幣金銀貨幣で支えられる経済社会
2.公共事業の積み重ね経済や社会が発展すると、公共事業を増やし、社会の経済的負担が増す
3.軍事力強化経済的に豊かさが増すと政治介入も増し、軍事力を強化するための支出が始まる
4.戦争軍隊を利用せざるを得なくなり、支出が爆発的に増える
5.貨幣価値の低下戦争支出のために、大量造幣できる通貨を使用しはじめる。貨幣は金銀から鉄に置き換えられて価値が下がる
6.信用の喪失大量に作られた通貨の購買力の低下に国民が気づき始め、通貨の信用が失われる
7.通貨危機を金(ゴールド)で精算通貨から貴金属や有形資産への移動が始まる。金銀の価格が急上昇する。

これはアテネで起こった流れと同じだ。歴史は17のステップを何度も繰り返す。またこのパターンを説明した「グリシャムの法則」は「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉に要約されている。

さて、私たちはいま、どの段階にいるのだろうか?

20世紀に遡ってみよう。当初、通貨は金本位制で回っていた。紙幣は金と交換できるツールだった。しかし、ヨーロッパでは第一次世界大戦によって支出が増え、金との交換ができなくなる。そして金(ゴールド)の裏打ちのない紙幣を刷り始めたのだ。

一方、アメリカは、二つの大戦の間、多くの物品をヨーロッパに売って金(ゴールド)を得た。アメリカは戦争によって国民総生産を増やし、資金を増やしたのだ。

第二次世界大戦が終わるまでに、アメリカは世界の金貨の3分の2を保有する。そこで、金と交換できる米ドルが金の代わりとなった。それは1944年のブレトン・ウッズ協定と呼ばれる。米ドルと基軸とした固定為替相場制だ。

同時にアメリカは、朝鮮戦争やベトナム戦争で支出を増やし、通貨供給も増やし、貿易で世界中にばらまき始める。しかし世界は、流通しているドルの裏付けとなるだけの量の金(ゴールド)をアメリカが持っていないことに気づき始める。

そしてヨーロッパ諸国はアメリカから金を買い戻し始め、アメリカの金の保有量は急速に減少。当時の大統領ニクソンはブレトン・ウッズ協定を廃止することを余儀なくされず、金本位制を脱却することを発表した。

1971年のこの宣言はニクソン・ショックと呼ばれた。それからアメリカは大量の通貨を発行し続け、今に到る。世界中でインフレが進んで、通貨の価値が下がる一方だ。「帝国の7つのステップ」でいうと、私たちはステップ6にさしかかっている。

歴史は繰り返す。現在のことだけを考えていては、これから起こる事に準備できない。そして富はなくならない、移動するだけだ。危機の反対側に正しい場所があり、チャンスがあるのだ。

動画のキーワード
  • 貨幣の歴史
  • 健全な貨幣
  • 通貨の過剰供給
  • 赤字支出
  • 戦争
  • 公共事業
  • ハイパーインフレ
  • 有形資産への富の移動
  • 金銀の価格上昇

エピソード3「世界の準備通貨である米ドルの死」/史上最大の富の転換

エピソード3の要約

現在の世界中の通貨の価値は、ドルを基準に考えられている。しかし、エピソード2で説明したように、20世紀のアメリカ経済は幸運が重なっていただけだ。現在のアメリカの政治家はあたかもこのドル基準を自分たちの特権だと誤解している。破綻がすぐそこにやってきていることを知らずに。

米ドルの死

現在、米ドルの半分以上はアメリカ以外の国々に存在する。そして海外にある米ドルは次の用途で使用されている。

  • 各国の中央銀行がすぐに使える対外資産として保有
  • 石油価格は米ドルで換算される

しかし、同時に、米ドルへの依存を避ける国々も増加している。

  • ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)は異なる通貨を保有し、BRICS開発銀行を設立した。
  • イランはトランプ政権の経済制裁を受けてSWIFTコードの使用を禁じられた。SWIFTコードは海外への銀行送金で使用されるコードだが、代わりに、SUCREシステムという仮想通貨を使ってユーロ圏に石油を売っている。
  • イスラム圏では、金貨の純度価値による貿易通貨「金貨ディナール」という制度も存在する。
  • アメリカ・ユタ州では、金貨と銀貨が法定通貨として認可された。同州は実際に金(ゴールド)の蓄財もしている。
  • 中国も膨大な量の金(ゴールド)を保有。同時にアメリカ国債を手放している。ドル基準が終わりに近づいていることを知っているからだ。そのほかドイツやベネズエラも金(ゴールド)を取り戻しつつある。
  • 世界的に米ドル依存を避ける取引が急増。日本がインドや中国と直接取引を始めたのも、この動きの一つだ。

いま、米ドルへの信用が落ち始めている。米ドルの死を迎えつつあるのだ。それでもなお、アメリカ連邦準備制度は、造幣量を毎年1兆ドルに跳ね上げている。

米ドル基準に代わる新しい通貨システムとは?

米ドル基準のシステムが破綻するシナリオについては疑問の余地がないだろう。しかし、その代わりとなる新しい通貨システムとはなんだろうか?

4つの可能性がある。

  1. 複数の準備通貨の使用(準備通貨とはすぐに利用可能な対外資産。現在は米ドルだけだが、複数の通貨を使用する。しかしこれまでに金と交換できない複数の準備通貨が存在したことはなく、不安定になるだろうと言われる)
  2. 特別引出権の使用(とくべつひきだしけん。国際通貨基金(IMF)が創設した準備資産。単位はSDR。結局のところ、IMFSDRを造幣することになるため、米ドルの造幣拡大の問題と何ら変わりはない。)
  3. 金本位制の使用(金に交換できる通貨の使用)
  4. カオス(何もしない。紙幣への信用の低下が加速し、完全に失われる。人々は有形資産に走る。世界中の紙幣価値が崩壊し、政府は緊急措置として国民を支配し資産を没収する。)

課題は、次の通貨システムを作るのは、現在の通貨システムを作った人々だ。現在の大手銀行、中央銀行そして政府が、新しい通貨システムを作るのだ。そして同じように、国民を騙して、政府と銀行をより豊かにするためのシステムを作るだろう。歴史は繰り返す。しかし現代の私たちにはインターネットがある。情報は広がり、私たちは学ぶことができる。

さて、あなたはどの可能性に賭けるだろうか。

今までのエピソードを見れば、3の「金本位制」が最も妥当に見えるかもしれない。しかし、金本位制の弱点もある。歴史が証明しているように、金と紙幣が紐づけられていても、やがて存在する金の量より多くの通貨の造幣が始まるのは避けられない。赤字財政のまま造幣し続けることで通貨価値が下がり、インフレとなって物価が上がる。つまり政府や銀行が国民の富を吸い上げることができるのだ。それは歴史が教えてくれた。

それでは金貨と銀貨を使用するのはどうだろうか。量に限りがある金・銀そのものに立ち戻れば、政府は国民を欺くことはできない。そして金・銀に移行しても、小切手やクレジットカードなどももちろん使うことができる。その時私たちは、エピソード2で説明した「帝国の7ステップ」をよく知り、破綻が起こらないように努めなければならない。

金・銀の価値

もう一度、アメリカ金融の歴史を復習しよう。

世界中に出回っているアメリカドル(ベースマネー)は、第一次世界大戦まで毎年ほぼ同じ量、同じ価値だった。しかし戦争によって通貨を過剰供給し、ベースマネーは一気に急上昇。造幣された膨大な通貨の価値を満たすため、金(ゴールド)の価格も一気に上昇した。

しかし、他の国々は、全てのアメリカドルを満たせるほどの金をアメリカが持っていないことに気づく。さらに戦後のブレトン・ウッズ協定により、金の交換は個人ではできなくなっていた。そのため、金の価格は下降した。しかしその間も、連邦準備制度は膨大な通貨を作り続けたため、金本位制を支えられなくなり、ニクソン・ショックが起きる。

金(ゴールド)は、1971年のニクソンショックによって、通貨と切り離され、通常取引される物品と変わらなくなった。その時、金と通貨の供給量に大きな差が出て、一時的に金の価格が高騰したのだ。金価格は一旦落ち着いたが、通貨供給量は増え続ける。そして2008年のリーマンショックによる救済と量的緩和政策により、通貨供給量はさらに膨大となる。

金価格もその動きに連動して上昇を続けている。人々はやがて通貨供給量が過剰になっていることに気づき始め、金購入に走る。それが進むと、すでに供給されている通貨の量を金が満たそうとして、価値が何十倍またはそれ以上に膨らむのだ。ドル基準の崩壊はすぐそこまで来ている。歴史がそれを証明している。史上最大の富の転換がやってこようとしているのだ。

人々の自由、自由市場、健全な貨幣。それが繁栄を支えることを、歴史は教えてくれる。

動画のキーワード
  • 準備通貨
  • 米ドル基準
  • 金(ゴールド)の保有量
  • 米ドル依存からの脱却
  • 金・銀への富の転換

エピソード4「人類史上最大の詐欺」/未来には破綻しかない

エピソード4の要約

このエピソードでは現代社会の通貨の流れを7ステップに分けて説明する。この通貨システムが虚構の上に成り立つ詐欺のようなものだとわかるだろう。基本的な流れは世界のどこでも同じだが、ここではアメリカを例に説明しよう。

  1. 政府が発行するのは借用書
  2. 銀行は借用書を交換して通貨を生む
  3. 政府が使う通貨は単なる数字
  4. 数字を増殖させる銀行
  5. 私たちの税金
  6. 債務上限のまやかし
  7. 支配者たちが上前をはねる。
1.政府が発行するのは借用書

政治家が言う。「私に票を!無料で政府からの恩恵を受けられます」しかし、実際には無料ではない。政治家は国に収入以上の超過支出を求める。超過分を支払うため、国は公債を発行して借金をする。

公債は、例えば「1兆ドル貸してくれたら10年後に利息付きで返します」という、いわば借用証書だ。しかし返済は、未来の私たちや子孫の税金から賄われる。未来の私たちそして私たちの子孫は、前の時代のツケを払わされている。つまり政府は、私たちの未来の財産を盗んでいるのだ。

2.銀行は借用書を交換して通貨を生む

公債を巡る目くらましはこうだ。財務省が発行した公債は大手銀行が買い取り、大手銀行は連邦準備制度に公債を売って利益を得る。そのとき連邦準備制度が切る小切手はいわばニセモノだ。なぜなら口座は空だから、不渡りは確実だ。

口座が空なのになぜ小切手を切れるのか。ボストン連邦準備銀行(連邦準備制度の第一区を管轄)によると一般市民が小切手を切る時は相応の担保が必要だが、準備銀行の場合は担保は不要なのだ。

このようにして連邦準備制度は通貨を作り出し、銀行に渡している。銀行はこの通貨でさらに公債を買う。ここで使われる小切手もいわば借用証書だ。そして通常、小切手は銀行で換金する。

この流れを言い換えると、財務省と連邦準備制度が、銀行を介して借用書を交換しているだけなのだ。準備銀行には公債が貯まり、財務省と銀行には通貨が貯まり、国民の借金が増えていく。この流れは繰り返される。

3.政府が使う通貨は数字にすぎない。

政府と準備銀行は出回っている通貨をベースマネーと呼ぶが、正しくは違う。過去のエピソードでも説明した通り、ここで出回っているのは貨幣ではなくただの通貨、つまり預かり証だ。もっと言えば、ただの借用証書であり、数字の羅列でしかない。本物の貨幣とは金・銀と交換できるものだ。財務省が得た通貨は、政府の各組織に預けられる。すると政府は、公共事業、社会保障、戦争などで通貨を使い、赤字を増やす。

4.数字を増殖する銀行

あなたが銀行預けたお金は、銀行に保管されてはいない。銀行は預かったお金で投資や融資をする。これが部分準備銀行制度だ。部分準備銀行制度とは、預金の一部を残して(準備)、残りを貸し付けに回すこと。

準備率はそれぞれだが、例えば10%とする。100ドル預けると、銀行は合法的に90ドルを融資に回す。しかし、あなたの口座は100ドルのままだ。そして準備銀行の文書にはこうある。

「民間銀行が融資する際は、口座に新たな預金を足すだけで小切手を作成できる」

しかし、これはただの数字だ。あなたの預金は100ドルのまま、90ドルの融資分の預金が追加されて、結果、数字上は190ドルとなる。銀行の融資で通貨を借りた人は、それで車を買ったとする。すると車のディーラーはその通貨を口座に預ける。

銀行はその90ドルの預金の90%の81ドルを融資に回すため、前述の190ドルに81ドルが加算されて271ドルという数字が存在することになる。これを繰り返していけば、銀行からの通貨供給は膨大となる。

さて、こうして通貨供給が過剰になると、価格が高騰し、インフレが起きる。インフレはただの副産物だ。現代の通貨供給の仕組みは、数字を供給しているだけなのだ。私たちは供給される通貨のために、汗をかいて働く。それはいわば詐欺といえないだろうか。

5.私たちの税金

供給され続ける数字のために働き、私たちは税金を払う。それは財務省に運ばれ、準備銀行が空の小切手で買った公債と金利を、財務省が支払う。税金の主な使い道は、学校や公共サービスではない。税金に使われるのはほとんどが、公債の金利の支払いだ。つまり、私たちの税金は、通貨供給の仕組みの支配者に吸われ続けているのだ。(歴史を紐解くと、連邦準備制度ができる1913年より前の時代には、このような個人所得税は存在しなかった。)

6.債務上限というまやかし

債務上限(さいむじょうげん)とは米国債の発行上限のこと。上限は議会が応じれば可能だ。国債などの公債には金利がある。金利の支払いのためには、借金をするしかなく、公債を発行せざるを得ない。その借金にも金利が必要で、また借金を重ねる。借金は増え続け、作られた通貨はその数字にいつまでも追いつかない。つまりこのシステムには破綻が待っている。

さて、もし政府が借金を止めたらどうなるだろうか?そして、もし国民が借り入れを止めたら?それは通貨供給が止まるということだ。支払いを済ませば、負債は消える。このシステムでは、負債が消えれば通貨供給もなくなる。つまり私たちが負債を抱えているからこそ、通貨供給が続く。しかし通貨の供給が止まれば、デフレとなって、やはり崩壊するしかない。

このシステムの未来は崩壊しかない。政府は、破綻が来る瞬間を引き延ばしているだけなのだ。

7.隠された支配者たちが上前をはねる

悪質なことに、連邦準備制度は民間企業にも関わらず、株主の名前が公表されていない。年間配当は大手銀行に支払われているが、その先は追うことができない。銀行は、公債の金利だけでなく、準備銀行からの年間配当も支払われているのだ。そしてあえて国民が理解できないほど複雑な仕組みを作っている。

まとめ:史上最大の詐欺そして憲法違反

1~7のステップの流れに乗って、富は労働層から政府や銀行に流れている。そして人工的に好況や不況を招き、経済格差を作っている。

実はアメリカ建国の時、政府はこのシステムの危険を知っていた。独立戦争の際に資金繰りのために大量の紙幣を造幣して超インフレを引き起こした経験があるからだ。負債に依存する制度から後の世代を守るために建国時の憲法には金・銀のみを貨幣と定めるとした。現在のシステムはこれに反している。そして国民の自由と繁栄の機会を奪っているのだ。

元イングランド銀行総裁の有名な言葉がある。

「現代の金融システムは、無からお金を作り出している。その手口はかつてなく驚くほど巧妙だ。不正と罪の申し子である銀行は、この世界を支配している」

この悪循環から抜け出るには、私たち自身が学ぶ必要がある。

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エピソード5「現代の通貨システムを崩壊させるふたつの危険」

エピソード5の要約

今までのエピソードで、現在の崩壊を待つだけの通貨システムは、借金に借金を重ね、インフレを引き起こし、ひいては私たちの自由を奪っていることを説明した。それに立ち向かうには歴史を知ることが大事だ。

ドイツ連邦銀行貨幣博物館で見る貨幣の歴史

当初、取引は物々交換で行われてきた。家畜、貝殻、斧、カカオ豆など多岐にわたる。一部は20世紀初頭まで広く使われてきたが、実際、物々交換への依存は効率が悪い。交換する物に合わせて分けることはできないし、生き物の場合、寿命や賞味期限もある。そこで先人が発明したのが貨幣だ。紀元前7世紀ごろ、貨幣の黎明期に使われていたのは金属の塊だ。

しかし、質、形、重さはバラバラで、エピソード1で説明したような貨幣の条件である「代替できる機能」は持っていなかった。また取引の際に毎回その重さを測る必要があり面倒だった。それから100年ほど経った紀元前680-630年ごろ、真の貨幣スタテルが使われるようになる。

スタテルは同じ価値、重さのため代替可能だったし、毎回測る必要がなくなった。また1/3スタテルや1/6スタテルなどのコインが作られ、分割も可能になった。そして2600年経った今でも価値がある真の貨幣だ。

その後、不換通貨が現れた。例えば、1375年に中国で作られた紙幣だ。金・銀とは交換できないため、どんどん印刷され、ハイパーインフレを引き起こした。この他にも、アメリカの植民地時代にも紙幣が作られた。また独立戦争中も、その支出のために紙幣が作られ、これもハイパーインフレとなった。そしてこれらの紙幣は現代には貨幣としての価値はない。

エピソード2で学んだように、政府は戦争が始まると、通貨を金に交換することを引き延ばす行為を繰り返している。第一次世界大戦前夜のドイツも同じだ。そして戦後、史上最悪のハイパーインフレで苦しんだ。フランスへの戦争賠償金も重なり、ドイツ経済をストップさせた。

その時、通貨はもはや金と交換できないので、通貨を大量に造幣した。ハイパーインフレのため紙幣の需要に造幣が追いつかなかったほどだ。それは紙の不足にもつながり、代わりに毛糸、木、絹などの別の材料を使った通貨が現れた。

  1. 金融リスク1.独裁者の台頭
  2. 金融リスク2.全体主義への欲求
危険1.独裁者の台頭

金融危機は政治情勢を劇的に変化させる。金融危機が起きると、人口の大きな割合を占める中産階級を一気に貧困化させ、恐怖で満たす。そしてその恐怖につけいる独裁者が誕生する。

第一次世界大戦を経てハイパーインフレとなったドイツではヒトラーが現れた。彼はそのインフレが終わる直前の演説で一躍人気を得た。その直後逮捕され刑務所に入っている間に、ドイツ経済は回復。彼はその間、力を失い過去の人となった。

しかし世界大恐慌が起きると、彼は再び精力的なキャンペーンを開始。人々の恐怖を操ることで、実質人々の権利を奪っていく。本当に恐れるべきは、富の喪失ではなく、独裁者の台頭だ。なぜなら私たちの自由が完全に喪失するからだ。そして自由がなくなれば、お金は動かない。

危険2. 全体主義への欲求

金融危機が引き起こすもう一つの危険性は、個人主義が脅かされ全体主義になることだ。ドイツがいい例だ。戦後のベルリンは、資本主義の西と共産主義の東に分かれてしまった。この2つのシステムを持つ街には、全く異なる景観が2つ並んでいた。

東側で証明されたのは、国民が政府に依存するほど経済は悪化することだ。また、資本主義から全体主義になると格差は縮まるが、全員が貧困レベルに落ちてしまう。つまり経済レベルを全体的に引き下げるのだ。そしてそのとき、政府に関わる人々だけは例外なのだ。全体主義は、個人の自由、自由市場、健全な貨幣システムを、人々から奪ってしまう危険性を孕んでいる。

現在の私たちがいるところ

現在、世界中で過剰な通貨の供給が起きている。世界中の政府が作っている通貨は、本物の貨幣ではない。しかし政府の主張はこうだ。

「金・銀を基準とした貨幣は、通貨供給を制限してしまう。19世紀の産業革命による急速な経済の成長には、柔軟に対応できる手段が必要だった。そして20世紀に入って、金・銀を基準としない通貨が当たり前になった現在、中央銀行は通貨量が経済成長と連動するように保たなければならない義務がある」

しかしそれはまやかしだ。経済が成長することは、通貨が強くなることで、固定通貨を貫くことができる。現在の世界経済は、伸ばし続けているゴムのようなものだ。そのゴムは、世界中のあらゆるところで伸縮性を失い、弾かれる直前だ。現在の通貨システムはリセット直前にあるのだ。そして歴史から学ぶのは私たちの責任だ。

動画のキーワード

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  • ハイパーインフレ
  • 独裁者の台頭
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銀投資の始め方