銀を自宅で保管する場合、火災や盗難リスクがあります。これらは、適切な耐火性や重さがある金庫を使うことで対応します。実は、銀の保管は、上記のリスクの他、変色や錆のリスクもあります。
そこで、この記事では、銀(インゴット/地金やコイン)の適切な保管方法と錆びた銀を復活させる方法(洗浄方法)をご紹介していきます。
銀はさびやすい!保管は適切にするべき
身の回にある金属は、空気中の成分と結合し酸化します。身近な物は鉄です。防錆処理していない鉄はアッという間にボロボロに変化します。様々な建物に使われるはずなのに、意外に弱い存在です。
実は、銀も錆び(変色)やすいことで有名です。表面が黒くなったり、白くなったりします。空気に触れないように保管しても、いつの間にか変色していることが多いです。
ただし、銀の錆は、鉄の錆とは違います。銀は大気中の硫黄と結合し変色します。内部的な変化をしていないため、クリーニング剤などで、簡単に元通りの輝きを取り戻します。
銀の錆(変色)を防止するには?
銀のクリーニング方法は、記事末に記載します。まずは、銀の錆(変色)を防止する方法をご紹介します。銀の変色理由は、硫化ガスや湿気等との結合です。以下が銀を変色させる代表例です。
- プラスチック系×活性ガスが出る物(PVC)での保管
- サランラップによる保管(日光に当たると最悪)
- ジュエリーボックスの接着剤
- ゴム製品全般 例:輪ゴムで束ねる。ゴム製手袋の使用
- 空気中の硫黄
- 化粧品、洗剤
- 人の汗や皮脂
上記の被害から避けるために、次の5つのポイントを意識しましょう!
- 素手で触らない。
- 銀を取り出すときはマスクをつける。
- 不適切な物の近くに置かない。
- 外気と遮断する工夫をする。
- 一定の空間で保管する。
1.素手で触らない。
銀を素手で触ることは禁止です。人の汗、皮脂等が銀が酸化するためです。必ずコットン100%(綿)の手袋を使います。これ以外の材質、例えば、ゴムの手袋などは、表面に塗布されている薬剤の影響があるため、危険です。必ず綿100%を使いましょう!
2.銀を取り出すときはマスクをつける。
1番と同じ理由で、銀を取り出すときは「マスク」も付けます。人の唾液が付着するのを防ぐためです。もし、複数人で鑑賞する場合は、相手にもマスクを求めましょう。
3.不適切な物の近くに置かない。
銀にダメージを与える材質の近くでの保管を避けます!
例えば「PVC」などです。PVCは、日光が当たるとガスが発生します。このガスが銀をボロボロにします。その他、銀を「輪ゴム」で止めること。ジュエリーボックスのゴム系の接着剤にも注意です。
プラスチック系(不活性系は除く)、ゴム系、化粧品等のそばには置かないようにしましょう!
4.外気と遮断する
銀と空気の接触を断つために、専用ケースを買ったり、真空保管したりします。
例えば、アマゾン等では、以下のコインカプセルが販売されています。コインであれば、このケース(硬化系プラ)に入れた後「真空機」を使い、真空パックします。または「マイラー」と呼ばれるコインホルダーもOKです!
銀のインゴットの場合は、ジップロックなどに入れた後「防錆紙」を入れます。その後、同じく真空機を使い、中の空気を抜くと良いでしょう。
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一定の空間内(金庫等)で保管する。
真空パックした物をさらに「一定の空間」で保管します。(例:金庫など)また、この空間内の湿度等や硫化ガス等を小さくするために、活性炭や専用シートを一緒に入れておきます。
- 一定の空間で保管すること→ 例:金庫、桐箱など
- 1の空間内の湿気等を低減する工夫をすること→活性炭、専用シートなど
例えば、金庫、スチール製のボックス、桐の箱などです。当店は、桐の箱をお勧めしています。桐は密閉性と防湿性に優れています。また、天然素材で作られているため、化学的な浸食のリスクも低いです。この桐の箱の中に入れた上で、さらに活性炭又は、専用のシートを入れます。
金庫の例
シリカゲルの写真
専用シート
At&tが開発した硫化ガスと湿気を吸収するシートです。
銀貨の洗浄方法とリスク
すでに汚くなっているシルバー製品を洗いたいと考える方も多いでしょう。ただ、実際に洗浄するとなると「価値の減少」が気になります。実は、洗浄による価値の減少は、コレクターによっても見解が分かれています。
例えば、銀の重量のみを価値の対象とする物は、洗浄しても問題はないです。他方、製造された年代が重要な価値になっている物(key date coins)は、洗浄により価値が減少します。
また、洗浄には、主に2つの方法があります。
- EZ-Estコインクリーナーや専用の「研磨布」を利用する
- 重曹を使う
どちらの方法も「必要以上」に液体に付け込まないようにします。長時間、溶液の中につけておくと、銀に大きなダメージを与える可能性があります。
1.研磨布を使った方法
銀製品が変色した場合は、専用の研磨布で軽く磨きます。非常に細かく織られており、かつふわふわとしています。これを使い、銀の変色部分を「軽く」こすります。ただし、いわゆるアンティーク銀の利用は禁止です。磨くことにより、年代部分の価値が半減または、極めてゼロになります。
- 一般的な銀インゴット又はコイン→研磨布ok
- 年代物の銀製品→LEUCHTTURMのコインクリーナー又は、振動クリーナーがオススメ!
2.家庭でも簡単♪重曹を使った洗浄方法
1番の専門溶液は、中々、手に入らないため、ここでは2番の重曹を使った洗浄方法を説明していきます。用意する物は、次の6つだけです。
- プラスチックトレー(深さ10cmほど、長方形のトレー)
- 重曹
- 人肌程度の湯
- アルミホイル
- 歯ブラシ
- タオル
1.プラスチックトレーの内側にアルミホイルをまく
百円均一などでプラスチックトレーを買いましょう。大きさは、洗浄する銀の量にもよります。深さは10cmほど、容器のケースは長方形がベストです。このプラスチックトレーの内側にアルミホイルを巻きます。
2.重曹
1の容器の中に洗浄するシルバーを均等にちりばめます。その上から重曹を均等に振りかけます。
3.人肌の湯を加える
シルバーと重曹をセットした中に、お湯を加えます。約5分待ちます。
4.歯ブラシでブラッシングをする。
5分が経過したら、歯ブラシなどでブラッシングをします。このとき、必要以上に力を加えないようにします。
5.すすぎ&乾燥
流水でキレイにします。重曹付きの溶液が残らないように入念にすすぎます。その後、タオルで水分をふき取り、完全に乾燥するまで待ちます。乾燥したら、シリカゲル入りの容器で保管をします。
この部分をキレイにします。
人肌の湯+重曹を入れて5分待ちます。その後、歯ブラシで表面をこすります。
このようにキレイになりました!
まとめ
- 銀の保管は、対策と対処の2つの考え方があり
- 銀はさびやすい(変色しやすい)
- 但し、一般的な鉄の錆とは異なり、洗浄等により簡単に復活する。
- シルバーの保管は、外気との遮断にあり。
- 百円均一のアイテムを活用して銀にやさしい環境を作ること
- コインを洗浄するときは、必要以上に時間をかけないようにする。